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腹部形状差の研究  シロチョウ科・キタキチョウ

キタキチョウについては、翅裏の後翅前縁部の第8翅脈と前縁ラインで囲まれたエリア(第8室)の形状を見れば、雌雄判別ができるようになりました。
 ・♂雄の方がここの幅があり、幅のピークが基部から離れて目立ちます。
 ・♀雌はここの幅はほぼなだらかに細くなり、♂雄より長く後翅前縁角方向へ伸びる印象となります。

これで、前回キタキチョウの腹部形状を議論した記事でのミスを発見し、昨年12月に訂正しました。

#1・キタキチョウ 夏型♂雄+秋型♂雄 2011.10.23埼玉県
a0146869_7182359.jpg
 これを拡大して後翅第8室をみると、♀雌と思っていた上方の個体も♂雄でした。
これは昨年12月には気がついて訂正済みでありました。

今回シロチョウ科の腹部形状の検証作業を進めていると、さらにまたミスを発見してしまいました。
#2ー3・キタキチョウ♂雄 2011.10.9栃木県
a0146869_7235721.jpg
a0146869_7241552.jpg
これらは翅の欠損からしても同一個体です。
先の記事ではこの#3の画像を♀雌であると紹介しておりました。
しかし、#2の画像でしっかり前翅裏・中室下端にある性標が、見えるのです。
「が~ん」・・・星飛雄馬の心境?

そこで♀雌で間違いない画像を紹介です。
#4-5・キタキチョウ♀雌 2009.4.26群馬県足利市、2011.4.24群馬県藤岡市
a0146869_7365784.jpg
a0146869_7371633.jpg
 こうやって見ると、♀雌の腹端は上部では産卵口が横向きに伸びて、下に付く交尾口は産卵口からは奥まってある感じです。

#6・キタキチョウ♂雄 2010.10.16群馬県下仁田町
a0146869_743112.jpg
♂雄はこのように腹端は♀雌の腹端を把持するパルパがあって、下向きに切れている感じです。
この画像はその把持器がしっかり閉じている状態でしょうか。

#7・蝶の腹端概念図 ・・・・「検索入門 チョウ①」渡辺康之 1991.4.30から転載
a0146869_7484786.jpg
 この概要図で、まずは蝶の体のしくみ勉強です。
これまでのキタキチョウの腹部形状もなるほど、これに沿っているようです。

#8・キタキチョウ交尾 2009.9.13栃木県さくら市
a0146869_7514645.jpg
 先の記事では大柄の♀雌が上でしたが、キタキチョウは本来♂雄上で、交尾飛翔も♂雄先導飛翔が基本とのことです。
(この♀雌は特に新鮮に見えないので、羽化時交尾にならなかったのか、複数回交尾になっているのかどちらかなのでしょうか)

キタキチョウはこの#8のように、黄色の濃さ・淡さが雌雄で全然違うのですが、老化して個体では#2-3でのYODAの判断ミスがあるように、♂雄も少し淡くなるように見えるので要注意でした。

★追記2012.3.11
uke-enさんのブログで、越冬キタキチョウを追跡調査されていて素晴らしいです。
最近、No.5の個体の近くで、力尽きた個体があったとのことですが、下の掲載画像の前翅裏の中室端の褐色模様が違うにように見えます。
左の#5の画像は確かに♀雌にしては黄色味が強いのですが、掴まっているシダの黄色さを拾っているのかもです。
a0146869_22483672.jpg

右後翅裏同士の比較でもいろいろ違いが分かります。特に翅形も違いますね。
a0146869_1304041.jpg


→キチョウ属3種の翅裏比較図はこちらです。
by yoda-1 | 2012-02-04 07:55 | ☆腹部形状差

腹部形状差の研究  シロチョウ科・モンキチョウ

モンキチョウの雌雄差は通常、色が違うことで一目瞭然ですが、雌に黄色型がいることで実はぐっと難しくなってきます。

まずは過去画像から。
#1ー4・モンキチョウの求愛行動
a0146869_6124313.jpg
a0146869_6125782.jpg
a0146869_6132232.jpg
a0146869_6135480.jpg
 これは明らかに求愛行動であり、雌・黄色型は雄の黄色よりも少し淡いことがあるので、追われている個体は雌・黄色型に違いないと思いました。

そこで、別の場所で撮影していた雄の画像と並べて、次の比較図を作成しておりました。
#5・モンキチョウ 雄×雌・黄色型? 比較図
a0146869_6182863.jpg
 腹部の感じが違うし、腹部の長さも短めで、前後翅の斑紋から外縁までの長さもあるし、雌らしいではないかと当時は思っていました。


今回、より詳しく検証しようと、白い通常の雌を含めて、腹部形状を比較してみると、この#5の画像のような雌が見つかりません。だいたいがもっと図太く、短い個体ばかりです。

#6-7・モンキチョウ 雌雄腹部比較図
a0146869_6364223.jpg
a0146869_6375184.jpg

一般に雌の方が卵を内臓するためか、中央部で腹部も高くなるものですね。
雄の腹端では、雌の腹端を把持するための部分がやや下向きになる分、斜め下の角度でカットされて見えます。

これらを見ても次の個体は雌で間違いないようです。
#8・モンキチョウ 求愛飛翔(左・♂雄+右・♀雌黄色型)
a0146869_6433578.jpg
 このように♀雌・黄色型は淡いことが多いようですが、これは特に淡いですね。

#9-10・モンキチョウ 求愛行動・・・・過去紹介画像・再掲
a0146869_64618.jpg
a0146869_6462719.jpg
 ご存じのように、モンキチョウは休止時・吸蜜時に開翅しないので、開翅画像は求愛時・飛翔時を狙うしかありません。
腹部上面は開翅していないと撮影できないので、今年も♀雌の腹部形状を中心に、細目の腹部の♀雌がいないものか、いろいろチェックしてみたいです。

先の#1-5で逃げていた個体は、どうも♂雄だったのでしょうか?
結構♂雄を♀雌と誤認して接近することはモンキチョウでも多いのかもしれません。
by yoda-1 | 2012-02-02 06:51 | ☆腹部形状差

キタキチョウ 生まれたての秋型♂雄  2011.10.23埼玉県

実は、先週日曜日の成果でうれしかったのは、キタキチョウの♂雄の性標を写すことができたことでした。

イモムシフォレスでの探索開始時に、切り出した樹木の幹にで吸水するキタキチョウの飛来がありました。

#1-2・キタキチョウ♀雌♂雄(訂正2011.12)・夏型  
a0146869_624365.jpg
a0146869_6341829.jpg
 まずは夏型の♀雌が飛来してきました。翅表の黄色の濃さは微妙ですが、この腹部形状は♀雌のようです。

#3-4・キタキチョウ♂雄・秋型 
a0146869_6244051.jpg
a0146869_6245984.jpg
 #3で右の♀雌はすでに吸水開始状態で、そこに♂雄が飛来してきてしばらく♀雌のまわりをヒラヒラしました。
#4にみるように♂雄もすぐに吸水体勢に入りました。
実は、このときYODAはどちらも♂雄と思っていたのですが、自宅で画像整理すると、最初の個体は♀雌のようです。特に#4の画像で感じる黄色の淡さでもそう感じます。
(#1の個体は、後翅裏の前縁部の検証で♂雄と判明しました。つまりどちらも♂雄でした。
ここに訂正します。2011.12下旬)

#5・キタキチョウ たぶん♀雌 
a0146869_6252328.jpg
 これはその近くのセンダングサで吸蜜する個体ですが、この黄色味の淡さは♀雌のように思います。

みんなとイモムシを探して、次の場所に移動する直前に、羽化直と思われる個体が、地面を歩き始めたので、これはシメシメと、撮影しました。
#6-7・キタキチョウ♂雄 開翅 
a0146869_6254452.jpg
a0146869_626556.jpg
 少しパタパタしていので、翅の動きは止まっていないのですが、日頃開翅しない蝶なので貴重な瞬間です。
#7で♂雄も羽化直は結構ふっくらした腹部です。それは未使用の精子囊が詰まっているから当然でしょう。

#8-10・同上キタキチョウ♂雄 閉翅 
a0146869_6262661.jpg
a0146869_6265266.jpg
a0146869_627127.jpg
 #8・新鮮であるせいもありますが、♂雄はかように翅表も翅裏も鮮やかな黄色です。
#9★引き出しに示すように、♂雄には前翅裏中室下部にこのような白い性標を持ちます。ここは狙ってもなかなか撮影許可がおりない部分かもです。
#10・この♂雄の腹端のディテールが写っているのも収穫でした。この下向きに割れている部分で♀雌の腹端を包む感じなるのかな・・?? 交尾中のその部分を直接見ていないでよく分かりません。

たぶん慣れてくると黄色味の濃淡で雌雄識別が可能になるかもしれませんが、この♂雄の性標や腹部形状がキタキチョウの雌雄判別に役に立つことを次回紹介します。

#11・キタキチョウ♂雄 2010.4.17嵐山町 
a0146869_628224.jpg
 撮影時に透過させると、♂雄の性標部分に少し影を感じます。

#12・キタキチョウ♀雌 2010.11.3蓮田市 
a0146869_6304754.jpg
 これは色の淡さもありますが、性標が見えないので♀雌。

#13・キタキチョウ・交尾 2010.7.31松本市 
a0146869_6311775.jpg
 雌雄の黄色味の違いがよく分かりますが、下の♂雄にかすかに性標部分も確認できます。

#14・キタキチョウ♂雄 飛翔 2010.10.2日光市 
a0146869_6314246.jpg
 これは翅表が透けていないですが、腹端の下向き部分と腹部の膨らみが中央でピークになる形状で♂雄です。

#15・キタキチョウ♂雄 飛翔 2011.9.17下関市 
a0146869_6315846.jpg
 これは腹部形状も性標もどちらも確認できます。(画質はよくないのですが、事例のため紹介です)

#16・キタキチョウ♀雌 飛翔 2011.3.19嵐山町 
a0146869_6321836.jpg
 越冬の♀雌個体ですが、♀雌らしい淡さです。
斜めの画像ですが、腹部は後半に膨らみのピークが来て、腹端では卵を出す部分が横向きに見える感じです。

#17・キタキチョウ♀雌 飛翔 2011.4.24埼玉県神川町 
a0146869_6323599.jpg
 これも斜め後方上部からの撮影の腹部ですが、#5と同様です。

#18・キタキチョウ♀雌→♂雄 飛翔 2011.10.9日光市 
a0146869_6325425.jpg
 これは腹部を真横で捉えることができました。
これで、#2の個体が♀雌であることも納得できます。
このように膨らみピークが後半にきて、腹端は♂雄に比較して少しぶつ切りのイメージになります。
 ◆訂正(2012.2.3 これは♂雄の方でした。♂雄の方は♀雌ほどに腹端が分離した形状にならずに、大きく斜め下向きにカットされるイメージでしょうか。

ホモ・サピエンスの女性もお尻部分が大きくなるように、キタキチョウの♀雌も腹端側に膨らんでいる感じでしょうか。(追記2012.2.3:これはむしろ♂雄の方でした。♂雄は腹部の上部付け根が直線的で、♀雌では上に丸みが強いという傾向はありそうです)
by yoda-1 | 2011-10-29 06:33 | キタキチョウ