蝶鳥ウォッチング:☆モズ科
2013-03-23T19:33:21+09:00
yoda-1
ご訪問ありがとうございます。月刊むし誌上で「近縁種識別」の記事を年に3回ぐらい掲載しています。PC訪問者数577,200-2019.2.7時点
Excite Blog
アカモズ 何故か「セアカモズ」に誤認されて。 2013.3.17神奈川県
http://yoda1.exblog.jp/17478803/
2013-03-19T08:05:00+09:00
2013-03-23T19:33:21+09:00
2013-03-19T08:05:19+09:00
yoda-1
☆モズ科
この体型・プロポーションはアカモズで間違いないと思いますが、亜種名については
・シマアカモズ Lanius cristatus lucionensis
が♂雄の頭部がグレイになることで近いと思いますが、他の亜種の絵をすべて見ていないので、断言はできない感じです。
モズ科の国内登録に関しては、「Hiraizumi's BIRDING PAGE」に日本産鳥類目録改訂第7版(日本鳥学会、2012)の記事があり、アカモズの亜種カラアカモズ、亜種ウスアカモズは検討中にされています。
この表のうち、M.Brazil BIRDS OF EAST AISA に絵がないのは、ウスアカモズだけですが、ネットで少し見てみると♂雄の頭部や過眼線が亜種アカモズより淡くなっているようです。
(注;2013.03.23追記 下記の追加にあるオランダ論文では、ウスアカconfususはカラアカモズcristatusとシマアカlucionensisの交雑種ではないかと推測しています)
となると、♂雄の頭部がグレイになるのは亜種シマアカモズの専売特許のようで、これから紹介する個体はシマアカモズでほぼ間違いないことになります。
#1-2・ シマアカモズ♂雄・第一回冬羽 クチバシが真っ黒でないのは昨年生まれの個体のよう。腹部に縞模様がないので、♂雄でよいと思います。
シマアカにしては、尾が長くない感じですが、これはこの個体が若鳥であるからでしょうか。
Brazilさんの図鑑でも1st-winのイラストは心持ち尾羽が短いです。
ここで、Brazil図鑑のイラストで、比較図を作成します。
#3ー4・ シマアカモズ×セアカモズ 比較図、比較表、#1での比較図(追加) 両種のプロポーションはかなり違っております。
セアカモズでは尾が短く、眼の位置がかなりクチバシ側に寄ります。
(注★ #1画像の比較図は分かりやすいように追加しました。 2013.3.19 20:53)
この両種の違いを感じるには、世界的に画像を集めているサイト「IBC:Internet Birds Collection」を参照するのがよいでしょう。
・アカモズの例 →こちら
・セアカモズの例 →こちら
それぞれ、画像上部両端にある矢印をクリックすると他の画像も見れ、大元に戻ると、どこで撮影したもであるかもマッピングされています。
しかし、ここに投稿されている画像はクオリティの高いものが多く、YODA撮影画像の貧弱さを痛感するだけであります。
また、スリランカで撮影されたアカモズに第一回冬羽♂雄の事例があります。
・アカモズ 基亜種@スリランカ →こちら
アカモズの繁殖地は国内図鑑にあるように、アジア東側半分といった感じなので、これは越冬でスリランカに渡った個体のものでしょうが、プロポーションが今回の個体に酷似しております。
#5・同上シマアカモズ♂雄 これは後に紹介する梅の木の場所で地面の獲物を狙って飛び出すシーンです。
初列風切の一部に白色部があるのが確認できます。
この個体の飛翔を見事に撮影している方のブログがあり、 →こちら
これによると、初列風切のP5~P7において、羽根の付け根側に大きく白色部があることが分かります。
これは、セアカモズには存在しないのではないでしょうか。
ちょうど外国のサイトに、セアカモズの羽根画像をコレクションしたものがあります。 →こちら
これのEXAMPLE5に各部位の羽根画像があり、左右のwingfeathersの部位を確認するとこのような白色部は存在しません。(とは断定できませんでした。 →追記参照)
今回どのような経緯でセアカモズが主流になっていったのかよく知りませんが、国内の図鑑でも、たとえば山渓ハンディ図鑑7「日本の野鳥」旧版でも、p.451の画像⑥シマアカモズ成鳥♂雄の掲載個体と良く似ていると感じます。(この図鑑が常に正しいとは限らないでしょうが・・・。例えば新版では明らかにルリビタキ♂雄若と思われる個体が、♀雌と紹介されており、購入時がっくりしました)
◆シマアカモズ♂雄の画像
#6ー10・シマアカモズ♂雄 @梅の木 これは当地で梅の木の前で待っている方がいて、YODAも便乗したら本当に来るのでビックリしました。
前半は地面で何かを捕らえて食餌中なのですが、いい場所に止まってくれました。3つ目の画像でクチバシから黒いペリットを出しています。
後半は先に紹介した#5の画像から始まるのですが、なにか甲虫類の芋虫を捕らえています。
最後の画像では、あまりの美味しさに舌鼓を打っているシーンです。(笑)
しかし、あせっての撮影で、このようにピンぼけを量産しました。
YODAとしてはシマアカモズは初見なので、うれしい限りです。
亜種アカモズも早く見てみたいです。
◆追記2013.3.19 18:35 ・・・・・亜種アカモズ♂雄における白斑らしきもの。
下記の2つブログの画像にわずかに白斑らしきものが写っています。
・T/Hの野鳥写真 アカモズⅡ(最後の画像) →こちら
・花鳥茶屋@BLOG 今年もアカモズが繁殖に(2枚目の飛翔画像) →こちら
つまり、この神奈川県の個体は別亜種ではありますが、ここの白色部がえらく発達した個体であったのでしょう。(1st-win♂雄 では特にそうなのかもしれません)
というのがYODAの主張です。
◆追記2013.3.21 ・・・・国内図鑑での亜種アカモズ白斑例
このページは自宅で作成したので、那須の方に持ってきている図鑑を見る機会がなかったのですが、文一総合出版ネイチャーガイド 日本の鳥550・山野の鳥・増補改訂版2004.4・2008.4第2刷 に第一回夏羽での画像があったので、転載します。
やや頭部が扁平に写っていますが、尾羽の先端部がやや濃くなっている感じなど、今回の第一回冬羽の個体と共通するものがありますね。
ここに記載されているコメントも慎重ですが、YODAはこの図鑑は同一種での掲載画像も多く、記載が慎重で信頼しています。
(棲息分布図がないのが惜しいですが)
若鳥ではこのように白斑が目立つことがあるというのが、YODAの推測するところです。
◆追記2013.3.21 その2 ・・・・COLLINS BIRD GUIDE 2nd EDが届きました。
少し目から鱗でありました。
基本、初列風切の白斑は、どちらの種類にも出ることがあるということですね。
本図鑑では、
・セアカモズ some ♂♂ have a small patch on the primaries.
・アカモズ usually lacks white in wing.
と記載されており、表現上アカモズの方が出にくいということですが、この白斑だけでどちらの種であるかの判定はできないことになります。
さらに面白いのは、アカモズ第一回冬羽のイラストの下に下記の記述があることでしょうか。
juv./1st-w Brown Shrike can easily be mistaken for Red-backed Shrike.
和訳すると、「アカモズの幼鳥・第一回冬羽はよくセアカモズと誤認される。」 となります。
今回の珍モズ騒動は、これに該当するものであると確信しています。
◆追記2013.3.22 ・・・・プロポーション比較
ある方のサイトで、オランダサイトでの比較論文の紹介があったので、そこでの画像も借用して、翼長と尾羽長の比較を行います。
実際の横の姿からの採寸なので、特に尾長は本来の長さではありませんが、比較はできます。
オランダ比較論文は →こちら
(図中の数字は画像上の無単位の距離であり、絶対値の意味はありません)
オランダ比較論文に第一回冬羽のイラストがあるのですが、やはり第一回冬羽は成鳥に比較して、尾羽長が短めになることが多いようです。
この比較からも、件のモズが、セアカモズでないのは明らかでしょうか。
またシマアカモズとしても、第一回冬羽であれば、その尾羽長は特に短い訳でないのも分かります。
]]>
https://www.excite.co.jp/
https://www.exblog.jp/
https://ssl2.excite.co.jp/