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ウラギンヒョウモン  国内に3種もいたとは・・・ビックリです。

その世界では、かなり古い話題なのでしょうが、日本国内のウラギンヒョウモン(Fabriciana adippe-学研・標準図鑑2006.8時点)は異なる3種に分かれるそうです。
学研の図鑑にもその辺の予告が記載されていますが、今回、その記載のある論文を入手できたので、そこにある標本画像で本州にいる2種の識別を試みることにしました。

・分子系統による日本産ウラギンヒョウモン3種と形態 新川勉・石川純 昆虫と自然40(13)、2005 pp.4-7+巻頭カラーページp.1。(以下、新川2005と略記します)

これは論文情報ナビにも項目だけはあるものの、中身は掲載されていなので、YODAは近くの所有機関まで借りにいきました。
過去の論文は、どしどしpdfにして公開して欲しいものです。

新川2005によると、分子系統分析によって国内産は以下の3種に分かれる。
・サトウラギンヒョウモン  全国の低標高地
・ヤマウラギンヒョウモン  全国の高標高地
・ヒメウラギンヒョウモン  北海道の渡島(おしま)半島のみに産出する日本特産種。

このうち学名が論文記載時であるのは、サトウラギンのFabriciana pallescens のみで、他はもうすでに登録記載されているのでしょうが、ネット情報にないようなので分かりません。
手許に欧州の蝶図鑑があり、そこには大陸産のウラギンヒョウモンであるF.niobe(ニセウラギンヒョウモン)、F.adippe(ウラギンヒョウモン)の標本画像があります。
当初、国内種はこのF.adippeの亜種にされていたようです。

新川2005では、サトウラギンとヒメウラギンは大陸のF.adippeと同じ系統で、ヤマウラギンの方は、F.niobe と同じ系統になると分析しています。
YODAの視覚ではサトウラギンは前翅形がかなり尖っていて、F.adippeの翅形は一見ヤマウラギンの方が似ている感じがしますが、前翅の後角部分の角度を見ると、サト系は直角に近く、ヤマ系はより鈍角になっていることが大きな傾向差として了解できそうです。

#1・サトウラギンヒョウモン♂雄×ヤマウラギンヒョウモン♂雄・・・新川2005より転載。
a0146869_6335759.jpg
前翅の尖り具合や色合いが違うことを指摘。このカラーページには♂雄香鱗形状・生殖器の形態比較が掲載されています。(ヒメウラギンの画像もあります)

YODAとしては翅裏画像や♀雌画像を含めて、もっと標本画像が欲しいところですが、この画像を手がかりにして、過去画像の峻別を行いました。
そしてなんとか比較図を作成しました。

#2・サトウラギンヒョウモン×ヤマウラギンヒョウモン 翅表比較図・・・画像クリックで拡大へ。 
a0146869_6341737.jpg
よく見ると結構翅形が違っています。ウラギンスジヒョウモンとオオウラギンスジヒョウモンの翅形差に近い部分があるかも知れません。
新川2005でも「斑紋は多様で、これで両種の区別はできない」と言及しているので、翅裏模様にも差が見い出せない可能性大です。

YODAの過去画像の峻別結果です。
◆サトウラギンヒョウモン
#3-#5・サトウラギンヒョウモン♂雄 
a0146869_63446100.jpg
a0146869_6353992.jpg
a0146869_6361367.jpg
 #3-群馬県渋川市(比較図採用)、#4-奥日光、#5-長野県東御市。
#4の奥日光は高所ですが、サトのようです。

#6-#10・サトウラギンヒョウモン♀雌 
a0146869_63733.jpg
a0146869_63733100.jpg
a0146869_637546.jpg
a0146869_6381240.jpg
a0146869_6382758.jpg
 #6-群馬県嬬恋村、#7-岐阜県白川郷(比較図採用)、#8-日光市、#9-長野県安曇野市、#10-栃木県鹿沼市

余り撮影地名を詳細に記載すると、過去ブログでの希少種の場所も特定されそうです。
一部のマニアックな採集者がいることの弊害でしょうか。

◆ヤマウラギンヒョウモン
#11-16・ヤマウラギンヒョウモン♂雄 
a0146869_6395258.jpg
a0146869_640545.jpg
a0146869_640334.jpg
a0146869_6404340.jpg
a0146869_6405645.jpg
a0146869_6415488.jpg
 #11、12-志賀高原、#13,14(比較図採用)-長野県飯田市、#15-高ボッチ高原、#16-菅平高原。
このうち飯田市の標高が低めではあります。しかも紹介した画像の中では一番サトウラギンに近い感じがします。

#17・ヤマウラギンヒョウモン♀雌 
a0146869_6453831.jpg
 群馬県高崎市産(比較図採用)。
ヤマ♀雌の(候補)画像はこれしかなく、夏眠明けの♀雌個体を来期を狙う必要がありそうです。

以上、サトは前翅先端の突出があるものの、翅形には直線部が多く、前翅後角も直角に近く、
ヤマは丸みのある翅形で、前翅後角はかなり鈍角になっていることが違いでしょうか。
でも上記峻別には、間違いが含まれているかもしれません。
by yoda-1 | 2011-10-18 06:14 | ウラギンヒョウモン