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チョウの数え方、昆虫の数え方

#トップ画像  キアゲハの「きーちゃん」(保全協会のマスコットキャラ?)とYODA家のゼフィー(パピヨン)
チョウの数え方、昆虫の数え方_a0146869_1944830.jpg


チョウ類保全協会のMLで話題になったので、少し追跡調査してみました。
チョウは「匹」で呼ぶのが正しいのか、「頭」で呼ぶのが正しいかという会員の質問に、
そのとき、答えのように紹介されたのが、中央大学・飯田朝子教授によるネット掲載記事「目からうろこ!数え方の謎・第10回 チョウの数え方
でした。
ここで、「頭」の由来を英語文化での家畜の数え方であるheadから来たという説が有力と紹介されています。
私は、そもそも英語文化において、動物名詞はそれ自体が、複数形になるので、西洋の動物園で飼育している動物の管理をわざわざ「zebra ・・・8head、lion ・・・5head、・・・」という風に記載したことがあるのかどうか、非常に疑問に感じました。

そこで、いろいろと追跡調査することにしました。

まずは、保全協会の横浜Iさんのメールで、
月刊むし#94(1979年1月号)のpp.24-27に今井彰さんの「蝶の数え方」
という報文が紹介されました。これは蝶に関する民俗学で多くの著作のある今井彰さんの
「地獄蝶・極楽蝶」1992.6.30築地書館のpp.172-184
にもほぼ同じ文章が集録されています。(以下、今井さんの研究報文とはこの文献を指します)
先の昆虫雑誌と違い、こちらは古本市場に入手できるので、早速私も取り寄せました。

余談ですが、今井さんはこの2014年2月中旬のチョウ類保全協会の集いでは、ご自分が創設された「蝶の民俗館」の紹介を中心に講演される予定でしたが、あの大雪で長野県の方から東京までの交通手段がなくて、保全協会の別の方が代理で説明されました。
今井さんに、その場所にお会いできないのは誠に残念でした。(会場で保全協会に寄贈された著作が半額提供となり、私は今井彰「一蝶百楽」2008.11.17ほおずき書籍を購入しました) 
今井彰さんの「蝶の民俗館」紹介記事をリンクしておきます。
信州須坂「蝶の民俗館」

この今井彰さんの研究報文以降の文献は、「ぷてろんワールド」という世界の蝶類を概観できる素晴らしいサイトを構築されている白岩さんに教えていただきました。
・オレンジページ 2003年3月2日号, あなたに代わって見聞帖, ((株)オレンジページ): p.134

これはさすがに古書がなく、出版社に問い合わせて、親切なことに該当ページの複写を郵送してくれました。(わずかに有料でしたが)
ここでは、東裕美さんが取材して文章にしており、取材協力に名古屋大学国際言語文化研究科・近藤健二先生とあり、参考文献に先の今井彰「地獄蝶・極楽蝶」が記載されています。ここでも冒頭に、「欧州の動物園や。標本商のカタログでは、蝶を含む動物を数えるときに「head」を使い、明治初期にそれが日本に入ってきた際に、そのまま「頭」と直訳したというもの。」が先の飯田教授の記事同様に、最初に出てきますが、大きくは、今井彰さんの報文の中の諸説を紹介しておりました。

今井彰さんの研究報文では、
・明治の昆虫学者・名和靖氏が「かっこいいので」頭という数え方を明治22年(1889)の昆虫学会誌以降で、昆虫全般に使用するようになった。
・明治時代に昆虫の頭部・胸部・胴部と部位が意識されるようになったので、頭部の頭が使われるようになった。

の二つが有力な蝶の数え方の起源として推測しています。
巷で有名になっている「海外の動物園、標本商が動物も蝶もheadを使用した」という説も、今井さんの研究報文で、昆虫研究家・矢島稔氏の推定として紹介されています。

さて、そもそも欧米の動物園で、headで管理していたのかも疑問ですが、明治時代の動物園が蝶も一緒に展示していたことはまずないように思いました。
これはWikiのButterfly Zooのページをみても、蝶温室は1970年代の英国からスタートしていると記述しています。ところが、矢島稔「謎とき昆虫ノート」NHKライブラリー2003.6.15のp.238以降に、ロンドン動物園の中に昆虫館(インセクトハウス)が1881年に設置され、その翌年に上野動物園が開園したとありました。
このインセクトハウスは2001年まで続いたとのことで、当時この昆虫生態展示を真似をした欧州の他の動物園ではトリバネアゲハのライブ展示もあったかのような記述になっています。

さてこのときに欧州人が、蝶のように短命で個体数変動が顕著な生き物をいちいち正確な数で管理したのでしょうか?
また、動物そのものをheadで頭数記載するのかも甚だ疑問です。
ネット検索で、そのような事例が見つかるかもといろいろ検索しても見出せませんでした。
英語のheadに家畜の頭数を表現する語彙があることは辞書にもあり、間違いないですが、その用例もネット上の文章になかなか出てきません。死語に近いものかも知れません。

そこで、矢島稔さんに直接お会いしてお伺いする機会を2014.3.23に得ました。
私の「海外でheadが動物リストなどで使用されている証拠となる過去文献はありますでしょうか?」の質問に、そのような文献はなく、当時のご自分の説は「憶測」であると、自ら言明されました。
つまり、このようなことも有り得るかなと述べたことが、その構成も面白い感じがして、いつのまにか有力な説として、今に至るまで受け継がれてきているようです。
今井さんは、この欧州でのhead使用はないだろうと、研究報文の別の箇所で主張されていますが、正にその通りに感じました。個々の名詞に複数形を持つ言語文化では、わざわざheadを持ち出す必要性がありません。

先の飯田朝子教授にも、コラム記載内容の情報源をメールでお伺いしましたら、親切に返答が来ました。
上野動物園の動物園の歴史に詳しい担当者にインタビューして構成したとのことです。
上野動物園で各種動物をいろいろな数え方で管理してきた貴重な事例を教えていただきましたが、欧米の動物園でのhead記述のある管理資料のサンプルまではなかったようです。
いずれにしても、この動物園head説を有力とするからには、まずは欧州の動物園でそのような管理資料があるのか、見つけるのが先決ですが、矢島さんのイマジネーションの産物であるとすると、難しいことになるでしょうか。
時間があれば、欧州の主要な動物園に質問メールしたいぐらいですが、その余裕がないのが残念です。

飯田教授のコラムにはもう一つ重要なものがあります。
・「目からうろこ!数え方の謎・第12回・「匹」と「頭」の以外なルーツ

です。これによると、「20世紀に入り、西洋の動物学などの論文で"head"と書かれた部分が「頭」と日本語に直訳されました。」とあります。このくだりは、先の第10回コラムと同様ですが、もしこのような論文が実在するのであれば是非拝見したいです。
先の名和博士の昆虫での「頭」使用は1889年ですから、日本での「頭」は昆虫の方が元祖になるではありませんか。しかも匹の由来が馬にあるとはビックリです。英語で家畜をheadでカウントする事例は辞書にもあるので、確かだとすると、いつからかは別にして、欧米の家畜の数え方の影響で、日本でも中型・大型動物を「頭」で数えるようになったの可能性はあるように思われます。

余談ですが、名和靖博士は、ギフチョウの和名命名者で有名ですが、日本で初めて昆虫の博物館である名和昆虫博物館を1907年に岐阜市で開館させたことでも日本昆虫史に残る業績だそうです。
名和博士のこの辺の苦労話は、矢島稔「日本の昆虫館」東海大学出版2012.2.20に詳しいです。

さてこの名和博士の活躍した明治時代半ばで、「匹」がまだ馬などを含めた広く生き物全般に対する数え方であったとすると、昆虫の助数詞をどうするかで、「頭」にしたとしても不自然ではありません。そのときの「頭」のイメージに中型・大型動物はなかった訳ですから。実際に例えば蟻の小群で個体数をカウントすると、思わず頭部をカウントしていくことになります。
いずれにしても、飯田教授の第12回コラムの時系列が正しいとすると、先の今井さんの研究報文と合わせて、昆虫においての「頭」は名和靖博士が国内で独自に1889年から使用開始したものであり、欧米の動物学論文での使用例を和訳(20世紀に入ってからとなっているので)したことではないものとなります。

先の明治の昆虫学者が昆虫一般に「頭」を使用し始めて、他の学者もそれに倣ってきてきました。やがて明治末期から「頭」が欧米にならって家畜などの中型・大型動物の数え方になっていき、それが世間一般の数え方になっていった背景があったとしても、昭和時代全般に国内で蝶の採集が学生や庶民の趣味として流行した際に、蝶採集そのものも、狩猟しているような感覚もあるので、ネットで捕獲した個体を「頭」で呼ぶことに抵抗なかったし、なにしろ昆虫関係の学術論文では「頭」が普通に使用継続されていたわけだからなおさら「頭」でよかった訳です。

今でも蝶採集や蝶の標本については「頭」で数えるが主流であるのは間違いありません。
ただ、蝶は本来小さい虫であり、「頭」で数えるのに現在の市民感覚で違和感のある人、または「匹」でいいではないかと考える人は、「匹」を論文で使用するようで、論文検索で容易に探せる鱗翅学会の論文でも、どちらの使用例もあります。
・「頭」使用例  http://ci.nii.ac.jp/naid/110007522449
・「匹」使用例  http://ci.nii.ac.jp/naid/110007707676

ネット上に、「蝶の数え方」の記述があり、ここに「頭、二頭という数え方は、蝶に限ったことではありません。鳥と魚を除くすべての動物は、動物学上では、一頭、二頭と「頭」を用いて数えます。」と記述されています。
これまた本当だろうかと、日本動物学会に問い合わせると、以下の説明を公式にいただきました。
「 昆虫関係の和文誌論文をいくつかみると、多いものが何「個体」、次が何「頭」 です。しかし、厳しく呼称統一されているわけではなく、何「匹」も間違いでは ないと思います。これが論文ではなく一般向け書物ならば順番は逆になるのでは ないでしょうか。あまり厳しくルールを決める必要もないのではないかというの が学会関係者の意見でした。」
つまり、動物学会でも、学術論文において「頭」にするか、「匹」にするかは、著者の自由であるわけです。
リンク先の記述者は、動物に関する論文で「頭」が多用されている状況を見ての記載だったのでしょうか。

まとめとして、蝶の数え方についての持論を述べます。
日本では、「頭」が昆虫の数え方として、始まった歴史があり、こちらの方が「匹」よりも正統であるかもしれません。
でも、特に採集するのでなければ、フィールドの蝶観察などでは、匹で呼ぶ方がごく自然であり、一般の方々も分かりやすいのではないでしょうか。
蝶の専門家が記述する一般向けの本では「匹」で記述していることも多いですし、昆虫のデジタル日記(小諸日記)で有名な海野和男さんのサイトでも、昆虫・蝶の数え方に「頭」は一切登場しません。

つまり、チョウは市民感覚で、飛んでいる姿を楽しむのであれば、「匹」でよく、新聞記者が「カバマダラが4匹確認された」と記事にしても、それが普通だと考えたいです。
また、この普通感覚が拡散して、今後昆虫関係の学術論文でも「匹」使用が増えてくる可能性もあるでしょう。

中央大学・飯田教授の先のコラムも、チョウは「昆虫の一種として「匹」で数えるのが一般的です。」と主張したいがゆえのトピックだと述べていました。飯田教授には、実際の動物を「頭」で呼ぶようになった経緯もさらに追及していただけることを期待したいです。

(トップの画像での蝶は、保全協会のはるさんから使用許諾をいただきました)
by yoda-1 | 2014-04-02 20:50 | ☆探蝶記一般